「お疲れ様」
今日は何事もなく平常運転で終電を終え、室内へと戻ってきた自分と同じ黄色の髪へと労りの声をかける。
「おう」
そう言葉少なくぶっきらぼうに返されたが、それが彼のいつもだと分かっているから特に何も思わない。
「総武も今日は大丈夫だった?」
「まぁな…」
だが、いつもの総武にしては煮え切らない返事に中央は眉を潜めた。
こんな反応するなんて…。何か僕に隠し事をしているみたい。だが総武のことだ、隠し事なんてできるはずもない。
そんなことを考えていれば傍らにいた黄色が不意に立ち上がった。
「…やっぱ待てねぇわ」
「え…?」
「ついて来い」
そういって中央の腕を強引に掴むとずんずんと歩きだす。
「ち、ちょっと!どこいくんだよ!」
「………」
質問にも答えずに進んで行く総武に戸惑いつつもそのまま後に着いていく。総武が早く歩いても中央とのコンパスの差は歴然で歩くのもそこまで苦にならない。この状況でもそんな些細なことが微笑ましく感じて頬が緩む。
ほんと、この手のかかる子はどこにつれてってくれるのかな。
「これは……」
足がようやく止まったと思ったら、そこは駅からも近く、ほどよい広さをもった公園だった。
「そこで座って待ってろ」
ちょうど後ろにあったベンチを指さし促すと携帯を耳にあてる。
「俺だ。やっぱ先に来た。準備はオーケーか?」
そう総武がいえばこちらからでも聞こえるほど騒ぎだす受話口。漏れでる言葉に、もちろんッス総武さん!と聞こえる辺り千葉の連中であることは容易に想像できる。それにしても準備とはどういうことか。それよりもまずはどうしてここに連れてこられたのか、だ。考えを巡らせればふと思い出したことが一つ。そういえば、この公園ってこの辺でも有名な桜の名所……
「よし、いいぞ!」
そこまで考えたところで突然の大声に思考を止める。すると突然の強烈な光。
急に明るくなったことに驚き反射的に目をつむり、そろりと薄く目を開ければ
「きれーだろ」
中央を取り囲むようにして真っ暗な夜空にライトアップされ一際輝く桜、そしてその目の前には逆光で顔はみえないが仁王立ちする総武。
「これをお前にくれてやる!」
誕生日プレゼントだありがたく思え。
やっと光に順応した目で総武の顔を見れば自信満々な顔。
まるで僕のことはなんでも分かってるって言うかのようなその顔に思わず笑みがこぼれた。
「ふふっ。今日がなんの日か覚えてたんだ」
「…忘れるわけねーだろ」
にやりと口の端をあげる総武にこっちもつられて更に笑いが込み上げる。
「千葉の子たちを手伝わせたんでしょ」
「あいつらがやりたいっていったからな」
「…みんな、総武が大好きだもんね」
「あぁ?お前はどうなんだよ」
そんなことさらっと聞いてくるところが総武らしい。他のやつにもそんな態度なのかと思うともやもやした気分になるが、少なくとも今日ここでは
総武は、僕のもの。
「当たり前でしょ」
大好きだよ。
そう伝えれば、よし、それでいい。っていうように頭をぐしゃぐしゃに撫でられた。
「よし、これから飲みに行くぞ!」
きれいに照らされた淡い桃色の下で、これからも君と。
happy birthday dear Chuo Line!!
これからも